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作品

二つのプロジェクト

作品 01  ·  完結

Edge of Stability — 南極の山脈と氷を空から捉えたモノクロ写真、2026年1月 プロジェクトを見る →

Edge of Stability

南極 2026 全8点

見渡す限りに広がる白の世界。この場所では、飛行機の離着陸さえも不確かさへと溶け込んでいく。空と大地の境界は失われ、すべてが白の一面に呑み込まれていく。

だが、私が本当に圧倒されたのは、空から見た南極大陸の姿だった。地上で体験し理解したつもりでいたスケールや質量が、この広大な大陸のごく一部に触れただけに過ぎなかったことを突きつけられた。眼下に広がっていたのは、何百万年もの時間によって形作られながら、なお動き、呼吸し、生きている風景だった。

風は氷と大地を削り、光は刻々と景色を変えていく。名もなき山の連なりは、生成と崩壊のあいだに宙づりにされた身振りとして立ち現れる。大陸の最高峰に触れようとしたその瞬間、凍てつく風の奔流が雲を呼び、山々は再び白さの中へ消えた。

永遠に見えるものは、実は繊細なバランスの上に成り立っている。水面に静かに煌めく散らばる流氷は、美と無常をともに物語っている。

作品 02  ·  進行中

The Price of Tin — インドネシア・バンカ島、素手で鉱石を洗う男性 プロジェクトを見る →

The Price of Tin

バンカ島、インドネシア 2026– 進行中

私たちが日々使うスマートフォンやコンピューターに、錫は欠かせない。錫は電子部品をつなぐはんだの主成分であり、AIのデータセンターから自動車まで、現代社会を支えるほとんどすべての電子機器に使われている。

インドネシアのバンカ島は、世界有数の錫の産地である。錫は島を出て世界へ運ばれ、富を生む。その一方で、島には削られた土地が広がり、森は失われていく。そしてもうひとつ、見過ごせないリスクがある。錫の採掘や選鉱によって濃縮された、ウランやトリウムを含む放射性物質である。それらは、十分に管理されないまま島に残されている。

しかし、錫は島の経済そのものであり、多くの家族の生活を支えている。放射線のリスクを知りながら働き続ける人もいる。危険だから離れればいい、という単純な話ではない。世界が錫を必要としているのと同じように、バンカ島もまた錫に依存している。三百年にわたって続いてきたこの循環は複雑に、そして強固に絡まり、容易には解けない。

2026年4月、島を訪ねた。住宅地の中に鉱石処理場があり、男たちは素手で鉱石を扱っていた。作業場のすぐそばには家があり、家族が暮らしている。鉱石を洗った水は裏の池へ流れ込む。そこで子どもたちが遊んでいた。仕事と生活、汚染された場所と安全な場所を分ける境界は、そこにはなかった。

日本はインドネシア産の錫を大量に消費している。私自身も例外ではない。そして、その錫を含むカメラを使って写真や映像を撮り、収入を得ている。私は無自覚のうちに、すでにその循環の一部だった。そのことに気づいたとき、この問題を自分とは無関係なものとして見ることはできなくなった。

The Price of Tin は、資源を受け取る側と、その代償を引き受ける側のあいだにある、見えないつながりを追う長期写真プロジェクトである。